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ブルーライトは悪者? 「むやみにカットしないで」

2021.05.01

ブルーライトカット眼鏡やブルーライトカットコンタクトレンズ、パソコンのモニターに取り付けるブルーライトカットフィルム――。
ブルーライトをカットする機能がついた商品が、さまざま売られています。
そのため、なんとなく「ブルーライトは体に悪い、目に悪い」と思っている方は多いかもしれません。
ところが、先日、日本眼科学会や日本近視学会など6つの団体が連名で「小児にブルーライトカット眼鏡をすすめる根拠はありません」「むしろブルーライトカット眼鏡が発育に悪い影響を与える可能性もあります」という意見書を公表しました。
ブルーライトは、体に、目に悪いのでしょうか、それとも必要なものなのでしょうか――。

そもそもブルーライトとは?

ブルーライトとは、私たちの目に見える光(=可視光線)のうち、青色の光のこと。
波長が380~495ナノメートルほどと、可視光線のなかでももっとも波長が短く、エネルギーが強いことが特徴です。
パソコンやスマホのモニターから発せられる光だけではなく、当然、太陽光にも、ブルーライトは含まれています。

ブルーライトは目に悪いの?

「ブルーライトは、可視光線のなかでもエネルギーの強い光」といわれると、なんとなく目に悪そうな印象をもつかもしれません。とくにデジタル機器から発せられるブルーライトはよくないのでは……と思うかもしれませんね。
実際、ブルーライトカット機能のついた商品は、「ブルーライトから瞳を守る」「眼精疲労を軽減する」「眼球へのダメージを予防する」などと、謳われています。

でも、日本眼科学会ら6団体が連名で発表した「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」によると、デジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは、曇りの日や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を与えることのないレベルだそうです。

また、ブルーライトカット眼鏡をかけることで眼精疲労が軽減されるのかを調べた、最新のランダム化比較試験では、効果は認められませんでした。

じつは、ブルーライトが目に悪いという科学的根拠は、いまのところないのです。

「ブルーライトカット」の弊害

むしろ、ブルーライトをカットすることでデメリットもあるそうです。
とくに子どもにとっては、太陽光は心身の発育に必要なものです。
十分な太陽光を浴びない場合、子どもの近視が進むリスクが高まることがわかっているそうで、意見書では「ブルーライトカット眼鏡の装用は、ブルーライトの曝露自体よりも有害である可能性が否定できません」と指摘し、「小児にブルーライトカット眼鏡の装用を推奨する根拠はない」ことを強調しています。

日中にブルーライトカットは薦められない

ただ、ブルーライトが健康に与える悪影響で唯一認められているのが、体内時計との関係です。
私たちは、光によって体内時計を合わせているといわれています。そして、私たちに昼と夜を知らせてくれるのは、光のなかでもブルーライト成分なのだそうです。
太陽の光は、昼間がもっとも明るく、夕焼けになると赤色の光だけが地表に届きます。
そのため、夜遅くまでデジタル端末の強い光を浴びたり、ブルーライトを浴びたりすることは自然なリズムに反し、体内リズムを狂わせ、睡眠障害を引き起こしかねないのです。
ですから、就寝の2、3時間前からはデジタル機器の使用を控える、もしくはダークモードやナイトモードで使うことが推奨されています。
一方、日中はというと、ブルーライトをカットすべき十分な根拠はありません。

長時間のパソコン作業などで目が疲れやすい方は、ブルーライトをカットすることよりも、意識的に休憩をとることが大切です。米国眼科アカデミーは、目の疲れを和らげるもっともよい方法は、「頻繁に休憩をとって、画面から目を離すこと」とアドバイスしています。

◎参照
日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会、日本弱視斜視学会、日本小児眼科学会、日本視能訓練士協会「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」
https://www.gankaikai.or.jp/info/20210414_bluelight.pdf

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