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「健康本」「医療本」に潜むフェイク——NHK「フェイク・バスターズ」

2022.09.01

先日、NHKの「フェイク・バスターズ」(年に数回、不定期で放送の番組)で、「“出版の自由”と医療情報」について特集されていました。いわゆる「健康本」「医療本」のフェイクについてです。
「ネット情報は玉石混交」と言われるけれど、健康本はどうなのか――。そう問題提起し、不確かな情報に惑わされないための対策を紹介する番組でした。

売れている健康本のエビデンスは

今、年間約7万点の書籍が新たに刊行されています。つまり、1日に200点近くの本が新刊として世の中に送り出されているということです。このうち、“健康本”がどのぐらいあるのか正確なところはわかりませんが、毎日毎日複数の新しい“健康本”、“医療本”が出版されています。
それらの本は信用できるのか――。
番組では、Amazonのおすすめに出てくる健康本、医療本の上位10冊を専門家が検証したところ、科学的根拠(エビデンス)が不十分な本が複数(10冊中6冊)あった、と紹介されていました。

信頼できる情報の見極め方

つまり、ネット情報だけではなく、本の情報も玉石混交で、正しい情報ばかりではないということです。そのなかで正しい情報、自分にとって有用な情報をどうやって見極めればいいのでしょうか。番組では、医師や司書、編集者などから次の6つのポイントが提案されていました。

●「標準治療」は現時点で科学的に最良の治療法だと知ろう
●「個人の意見」に要注意
●本は後ろから目を通す(特定の商品が紹介されていないか、参考文献が掲載されているか)
●科学的根拠が不確かな本は図書館にもある
●ほしい情報ばかり集めがち
●本だけに頼らず専門家に相談を

わかりやすい本よりも誠実な本を

また、番組のMCを務めた評論家の宇野常寛さんはこんなふうにも言っていました。

「『これで解決する』と書いてある本はあまりいい本じゃない。本当にいい本には、わかりやすい答えは書いていなくて、新しい問いかけができています。『あとは、あなたが考えてください』と書いてある、そんな本のほうが誠実な本なんですよ」

「健康のためには●●をしなさい」「●●さえすれば治る」……などと断言している本は、わかりやすくて、読みやすいかもしれません。でも、わかりやすい答えを求めすぎると、不確かな情報に振り回されてしまうかもしれません。
また、どんな専門家であっても、その人にとって見えている世界での真実しか語れません。健康リテラシーを高めようと思ったら、同じジャンルの複数の著者の本を読み比べてみることも大切ではないでしょうか。

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